地方での集中合宿で仮免まで取った娘は都内の試験場で合格した。久しぶりに帰ってきたと思ったら、車の練習をさせろと言う。我が家のサブスク車は無傷のままでいられるのだろうか。
友人といっしょに少しは練習したそうだが、本人も全然自信がない様子。しかも近所で一番運転技術が必要となるのは我が家から通りに出るまでクランクが続く数十メートルなのだが。まずは広い道路までは運転させずに大通りまで出てみる。さて、運転席の交代だ。頼むからアクセルとブレーキがどっちなのかを訊かないでくれ。サイドブレーキは一番最後だ。ハザードのボタンはわかるか?左の後ろが一番見えずらいのでいつも注意を向けろ。左折は膨らみすぎず巻き込みも注意しろ。バックで駐車する際はゆっくりでいいから何度切り替えしてもいいからちゃんと安全を確認してからハンドルを切れ。目の前の信号が青だったら右でも左でも曲がっていいから。赤でも緑の矢印が出てたらそっちには進めるから。車線変更は必ず後ろを確認しろ。割り込みさせてもらったらハザード。
がちがちに肩をいからせながらも休み休み3時間ほど練習できた。体も車も無事だった。精神は参ってしまってその日は早く寝たが。
明くる日は最難関の我が家から広い通りまで出るのと車庫入れだ。まずは家から出なけりゃな。出てすぐのところに教習所も惚れ込むようなクランクが2か所ある。そのすぐ先にはいつも道路にはみ出て留めている外車の鼻だ。きびしいな。ここは降りて外から誘導するしかないだろう。寝巻同然の恰好だったが構っていられない。誘導員よろしく身振り手振りで支持を出す。聞こえるように窓を開けておけ。行けたか?じゃあもう一周いくか?
その勢いで近所のスーパーも行ってみよう。そこにいるプロの誘導員はちゃんと白線の内側までヘルプしてくれた。途中3台ぐらい他の客の車を渋滞させることになったけど。よし次はいよいよ戻って車庫入れだ。
この頃の車は四隅にセンサーが仕込んであってある程度何かに近づくと音で教えてくれる。車庫を少し通り過ぎてバックから左にハンドルを切りながら進めていく。左後ろの生垣の角はギリギリでいいから。右前は向かいの家のブロック塀にあたらないか?車庫に進むにつれて少しづつハンドルを戻すんだ。右に寄りすぎたら自分が降りられないぞ。自分の家の前なんだから何回切り替えしてもいいんだから。車の前はちゃんと格納できたか?後ろに行き過ぎて人が通る空間は確保できているか?左側はある程度空けておかないと宅配便の人が通れないぞ。
慣れない助手席から大声でまくしたてるものだから通り過ぎる人がじろじろとこちらを見ているようだ。そういえば窓を開けていたな。家に着いたらもうヘロヘロだ。なんだ?恰好悪い?ま、いいじゃないか。
帰っても事故らないよう気をつけろよ。ゆっくりでいいから。焦らなくていいからな。まだ慣れてないことを恥じることはない。クラクション鳴らされても怒鳴られても事故るよりマシだ。

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